雪に踊る/
石瀬琳々
なつかしい声がする
し、と、す、のあいだ
あなたが人差し指で押さえた
かすかなつぶやきのように
わたしの中で目覚める
し、と、す、のあいだ
声にならない言葉があふれて
あとからあとから降りて来る
雪、記憶の破片に似た
空はあなたの横顔のよう
答えはないのです
この白の沈黙の軽さ
手のひらに触れるはかなさがいとしい
やがて微笑む春までのあいだ
わたしは雪と踊る
雪に踊る
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