VOLLMOND?フルムーン?/カナシミルク
しとやかな抱擁たちが群れをなして
乾いた砦を叩き割る
きみもまた 再会の水蜂
くるって咲いた唇を
諧謔の雨にたとえて
今日もタイルを剥がしていく
かしずくだけの無邪気な棺桶
ねぇ湿った右手をひらいてごらん
神の背中をまわっておいで
たった一つの抑揚を
隠しておくから
ひとはたおやかな、けもの
太陽との密会に 耐えられない感性を持ち込んで
また月と戯れる
苔の生えた岩にしがみついては乾きを癒して
静かに記憶を捏造していく
いく いくいく
This is me!(これがわたしだ)
反―カイテンカラゼンシン―テヲヒラクチカラニカエテ
も、う、い、ち、ど!
あたりには深海からの 雨
すくっては 浸していく生命の宿
仲間たちの骸(むくろ)を流しながら
また、拾いながら
わたしたちは 今日もまた
流れを見つめ続けるんだ
とびかかってくる男たちを
うけながすようにだきとめる女たちを
濡れた唇にたくして
月は静かに加速していく
―VOLLMOND(フルムーン)―
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