海の熱、鉄鋼の風/水町綜助
がれ落ちるように
白いあぶくが柔らかく
強すぎる風に乗って
かたちを変えながら
海岸線に落ちては消える
僕は
低く刈られたススキを踏み抜きながら
海岸線を挟んだ小高い土手を頂上まで登って
風に飛ばされそうになりながら振り向いて
目に映る波は
白く
巨大で
音もなく大きくうねっては
風鳴りともつかない
耳朶を掻き回すような音をたて
波飛沫を僕たちに浴びせかける
もう背丈を越えるほど
これは
風なのかも知れない
海水が風をかたちにあらわすとするなら
逆巻くものは海だ
いずれにしろ海は
風は
ただ
平然と荒れていた
僕たちの茫然は
かき乱さ
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