一ヶ月の色と形/エルメス
 
るほど、名残惜しくなる。
たとえそれほど幸福でなくとも、もうすぐ終わるんだ、と思うと名残惜しく思えてくるから不思議。

……僕が今感じている名残惜しさは、果たしてどちらだろうか。何処から来たのだろうか。
どちらにしても、終わってほしくない。しかし、終わるところに意味がある。あぁ、複雑。

きっと、思春期を満喫している少年少女たちは、これの何倍もの複雑な思いを、
ずっとずっと味わっているのだろう。僕にはとてもついていけない。



想い出はいつも綺麗だ。今を想い出にできたら、毎日は綺麗になるだろうか。
いや、その時は、もう、既に……。

そんなことを考えながら、今日も僕は自転車を漕ぐ。



何百回目かの下校風景。空は、青い。
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