ある日のお便り(仮題)/やなし
 
「右足に青あざが出来ていたのです
 いつのまにか
 なんの断りもなく
 自分の足さえままならない
 いったいどうして
 こんなことになってしまったのでしょうか」
  なるほどたしかに 彼の来た道は雑然として
  いかにも不親切であった
 あなたに必要なのは
 バランスです
 来た道を戻りなさい
  おそろしく間延びした顔の猿が したり顔であごをまさぐる
  希釈されたビートルズが満ちて
  ステンドグラスがのっと浮かんだ
 それから
  と猿は続ける
 軟膏と包帯を二つ用意しなさい
 なにごとも アフターケアが大事です
  たしかに 私の街は軟膏と包帯でつくられてきた
  の だが
 チャンネルはそのまま
  そう チャンネルはそのまま
  なにしろダイヤルはおそろしく重い
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