青木そうすけ≦プル式というカテゴライズ/プル式
 
中が僅かにちらりと見えるくらいだ
これでも要領はいい方だと自負していたのだがどうにも上手くないらしい
右へ左へと今にも切れてしまいそうな糸にしがみつきぶらさがり
やっとこ握りこぶし一つかな進む
進んだつもりが握りが甘くまたバランスを崩し後戻り
先に行ってしまった友人の背中はすっかり消え
いつの間にか辺りには些の様な白い靄に包まれている
進みはじめた頃にはまだ見晴らしも良く足元に地面も見えたのだが
一歩進む毎に地面から離れて今ではもうすっかりである
時折吹く風のようなものが一時視界を晴らすのだがここ暫くそれもない
さてどうしたものかと思案に暮れても仕方なしとに
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