透明宣言/木屋 亞万
 
甲子園に行くためには名投手が必要である
バッテリーの才能がずば抜けていれば
守備や打撃にさして強みが無くても勝ち残っていける
二人の青年が呉琉紺駄高校に入学し、万年予選敗退だった野球部で
そのことを証明して見せた

彼らの球を打ったものはいない
打つどころか彼らの球を見たものすらいない
全試合全員三振という快挙を成し遂げた
背の低い青年は、消える魔球を投げ
背が高く目つきの悪い青年がその球を取る
球を消すのも、消した球を再び出現させるのも、常人にできるものではなかった
人は彼らを白球の魔術師と呼んだ

多くの選手や監督、審判、解説者が
その球筋を攻略しようとしたが、で
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