ベッドタウンの見えざる窓/プテラノドン
 
ベッドタウンを目指した住宅地の一角が消えた。
僕らがまだ建設途中だったそこに 忍び込んだとき、
辺り一帯、今となっては恋人の到来を予測させるのに充分な
二階の窓は、透明なビニールシートが張られていただけで、
街灯のぼやけた明かりしか存在しない、純真無垢な
絵葉書みたいだったのを覚えている。

コンクリート剥き出しの壁。作業員が置いていった
真っ赤なスプレーを床から拾い上げ、それがドラマに登場する
ホテルの鏡みたいに、そんな仕草を馬鹿にするように
友人は「覗き見の窓だ。」と言って、幼稚で滑稽な窓を描いた。
他の友人はともかく僕は―これはちょっとした光景だな。
そう思った。これ
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