近所のはっちゃん/こうこ
近所の七歳のはっちゃん
「僕は100メートル泳げるんだ」
はっちゃんは嘘つきだ
ある日はっちゃんは言いました
「明日地球が滅亡するんだ」
はっちゃんは本当に嘘つきだ
当たり前だが明日は来た
空は晴れていて気持ちのいい風も吹く
最高の遊び日和
「はっちゃんの嘘つき」
はっちゃんはいつしか友達もいなくなった
「俺んちにスーパーマンが来ていた」
はっちゃんの嘘はそれからもずっと続く
嘘つきはっちゃん
そんなはっちゃんはいつしか
どこか遠くの町に行ってしまった
嘘つきはっちゃん
それから四十年が経ち
はっちゃんは
どこかの偉い教授になっていた
はっちゃん
今も嘘を奥さんについているのだろうか
僕ははっちゃんがいつも一人で泣いているの知ってたよ
ママガいなくなった事も妹が病気だったことも
はっちゃん 全部嘘になれば良かったのにね
悲しいことは全部 嘘になればいい
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