子守唄/悠詩
仔犬は真っ白に汚れた嘔吐物を舐めている
真っ黒に澄み渡る雪のシルエットの中で
真っ白に汚れた嘔吐物を舐めている
温もりを忘れてしまった舌先は
うずもれて擦れてしまった空言を掘り当てる
仔犬の目は光り
空言を舐め回し
「ぼくら互いにねじれの位置にあるんだよ」
という微笑みを浮かび上がらせる
はぐれ犬の幻想 stray dog portray fog
少年は仔犬を縊っている
やわらかい手のひらに雪が溶けるように
しなやかに手を伸ばし息が漏れぬように
足元の噛み合わないはす向かいの
誰とも交わらない無限回廊
二重螺旋を歩くふたりは
空間の変数
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