ナトリウム色の蝉/滝沢勇一
 
となんておりません。
なんだかんだで白昼夢、時刻は午後の3時過ぎ
僕はソーダを飲む
オレンジ色のソーダ、気泡がつぶつぶ
熱帯の海に放り投げられたとき、深く深く群青に吸い込まれそうになりながら上を向いたらオレンジ色の液体のなか、気泡身体からのぼってってきらきらきらひかりが砕けたやつが降って刺さってくちのなか合成甘味料に似たひとの濃い、体液のあじがした
夏休みを思い出した。
残ったオレンジ色のソーダを乾いた蝉の死骸にかけた
空き瓶は道端に捨てた
くちのなかに合成甘味料のあじが残った
甘ったるいサッカリンナトリウムだった。



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