ひとのきかん/紫音
 
の有り様

かつて踏み締めし足を以って
人となり展開し転回した天界の矢が
火と共に人を失わせた歴史に
詩を以って槍とし死を以って盾とす

ひとふたまるまる
ロンドン塔が正午を指し示す時
豊穣なることば を以って
人は人へと還る
詩は再び世界を拓き

人の帰還が始まる
世界を呼吸するために

詩を
気管とし
器官とし
帰還が始まる

発せよ記せよ語れよ残せよ
ことばを掲げる炎として
火との奇観に歓喜の歌を



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