ひとのきかん/木屋 亞万
つけていた
赤・白・黒・黄の四色からなる幹に、
金・茶・赤・黒・白から青や緑まで様々な色の混ざった葉をつけた
太さも形も様々な「一つの人」の木をみて
神様はひとの木に「人」が世界に羽ばたいていく夢を見た
暇を持て余した神々が遊び半分で
好き放題に搾取し、汚染してしまった神々の大地にもう一度
色鮮やかな輝きを取り戻すための夢だった
神様はすきっ歯の林から「ひとのき」を少しずつ切り分けて
滅んでいった神々の跡地に次々に挿し木を行っていった
挿し木から育った果実は種を産み
双葉のような足を持つ「男」と「女」という人間を
世界のあちこちで誕生させ始めた
人間は元々ひとつなぎの、巨大な神々の大陸で発生した、
「ひとのきかん」という缶に芽生えた双葉にその起源を持つ
ような気がするのだ
その名残として人間は、
案山子の、木の足を見ると何だか懐かしくなる
心の奥でカンカラコンと空き缶がなるような気がして
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