ノート(45Y.1・29)/木立 悟
耳を焼け
耳を焼け
体内を聴け
正しくはない
美しくない
体内はもういい
正しさも
美しさも
もうどうでもいい
おまえでさえあればいい
また八行忘れた
交尾中の 十行を忘れた
だが子供は 複乳は
りりりりりりと生まれくる
焼けるようにではなく
いま焼けていて熱い
満たされる以上にほとばしり
あふれふくれあふれあふれる
書いても書いても書いても書いても
失くしたものはもどってこない
雪どけの屋根の嗚咽と
途中で終わる足跡の息
光でもおまえでもないものが
こうして迷路を描かせている
わたしはもう行方を問わない
わたしはもう行けるだけ行く
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