猫と詩人/
 
猫は詩人が大嫌いだった。
詩人というものはやたらと猫を題材にしたがったからだ。
遠慮もなく猫を観察して、時には考え込むような仕草をする詩人が猫は大嫌いだった。

詩人は猫を観察するのが好きだった。猫というのは非常に興味深い動物だ、と思っていた。
詩人は猫のことを詩に表すのが好きだった。


いつしか詩人は物事を考えることが出来なくなった。年をとったからだろう。
その頃には猫は既にこの世にはいなかった。
でも、詩人は猫を題材にした詩を今までに100も作った。

猫は天国で思った。

あの詩人が優しい瞳で自分を見ていたことを。

だから猫は小さく鳴いた。

これから再びあの詩人に会えることを願って。
戻る   Point(2)