風の便り/アングラ少女
 
蜂の甘い尻の熱風のなかを
紅い頭髪をかきあげた神話の少年が
うずくまる季節
鳥は
すみやかに地表の忘れがたい母性に化ける
水平に傾けられた麻袋の類型
としてのある内部で
腐るものの反復
のかわりに
未成熟な観念をウラジロの群生に匿す
蔓と分化した種子の生活形は
黄色い角質に被覆され
化膿した傷口の臭気をもち
農夫の娘の湿潤にも耐える
「雨は
神話の滅んだ後では
必ず きみの墓石を濡らす」
ために降ってくる
そこで私は
もはや火蜥蜴の捕縛をあきらめて
一羽の鳥に誘われるまま
養われる一切のものの失われた
地表の最果て
「やがて きみの想像力が
世界を滅ぼす」
のと同じ垂直跳びで
砂漠の来るべき嵐のなかを
縦横無尽に駈けまわる

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