宵闇、半端な色味の懐かしい影と紛れ込んだゴブリンの鋭利な指先/ホロウ・シカエルボク
上皮が裂けた左手の指にいつか巻きつけた絆創膏の糊の痕、冷たい、冷たい気持は午後を滑落しながらやがて来る夜の暗闇の中へ俺を誘う、そんな景色は何度も見た、そんな景色は…まるで形骸化した示唆の残留思念の果てなきリフレイン、土埃をまとった小さな窓にどこかの窓からの反射が攻撃を仕掛ける、見ていないで…見ていないでそんなものをいつまでも…強い光は眼を傷めるばかりなのに…投函されて届いた一通の封筒には宛名は無かった、何故…微細な血流を幾筋も浮き上がらせた青白い郵便配達員に俺は問いかける、彼は「自分の与り知らぬところ」と言うように首をただ横に振った、二、三度だけのそんな仕草はまるで時間
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