蝶/音阿弥花三郎
わたしが蝶であるなら
世界がむき出す筋肉の紫の静脈の盛り上がりを
ペロリと舐める
その時の世界の激しい快感を 想像出来る
わたしが蝶であるなら
世界が秘めている恥部 その柔らかく熱い粘膜の奥を
ススッと擦る
その時の世界の身悶えを わたしは想像出来る
蝶よ 毛だらけのストローの口持つものよ
理性のひと羽ばたきで 世界の頭部を砕け
べとべとした快楽に脳は煮えたぎっているだろう
わたしが蝶であり 蝶はわたしであるなら
わたしは快楽を与え それを受け入れるみだらな虚け
わたしは世界を死に至らしめ わたしの死体もそこに転がる
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