猫/
音阿弥花三郎
合歓の木の上で眠りをむさぼるふらちな内臓
不透明な猫が目覚めたところだ
今そこにいた所に白っぽい魂を残して
静かにとなりの木に移る
走り去る猫
睾丸は膨らみ過ぎて目玉と区別がつかぬ
瞳孔を縦長にして
静かにとなりの木に移る
なぜ許されるのか その怠惰を
鳥類の動きすら追わず
「あしたのてんき」のみに耳そばだてる
猫は廃墟の比喩となるべし
猫は藻屑の比喩となるべし
空から尿が激しく降り出す
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