雨の日彼と私と/いのせんと
 

雨降りの日はあなたに会いたい
ジーンズの裾とスニーカーはもう
びしょ濡れだけどあなたは
雨に濡れてしまうよりも流れていく
雲を見ているほうがずっと
悲しい気持ちなんだって言った
同じ形はそこにはなくて同じところには
いられないんだねってそうあなたは言った
傘を差して空を見上げてもあなたと同じ
空は見えないからだから私は傘を閉じた
そうするとあなたが見ていた空とあなたが
見ていた雲を追いかけることができるような
そんな気がしたから私は傘を閉じて雨に
濡れながらあなたが見ていた空を見上げた
あなたが見ていた雲はもう私には見えないから
私は悲しくて少し泣いたあなたはそれをきっと
雨のしずくだと思ったでしょう。


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