裏路地からだラプソディ/氷魚
 
裏路地で
出会ったのは
脚を止めたからだ
彼の躰
見つめたら
急に止まったからだ

濁った空気 
曇り空みたい
彼が灰色だからだ
その身体
彼が自分で
愛さないからだ

何処かを睨む瞳は
コンクリートの色だ
銀色と呼ぶほど
彼が自分で
愛せないからだ

指先で
彼の背中に
羽根を
書いてやったのは

その身体
自分を愛して
ほしかったからだ

愛されたかったからだ
私が愛したからだ

戻る   Point(0)