itai/木屋 亞万
れた目と、骨髄の曲がった身体を
zuzuzuと小屋から引きずり出した
旅館のおばさんのだし巻き卵をご馳走になり
離れのおばあさんにほうじ茶と茶菓子を頂いて
犬のジローの頭を撫でて、目に沁みる電灯の筋に沿う
息を長く吐けば、空気は心配そうに寄ってきてくれる
田んぼの遠く、山の辺りで蛙が鳴いている
風がfufufuuと電線を鳴らして、月へ旅立つ
沁みるような月の匂い、山が風にくすぐられている
鼻から吸う息で心に余裕を作ろうと思う
このカーブを降りると家だ
油断した目の前には
音もなく沈む我が家と
ダムの気配
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