君の背中に追いつかない/秋桜優紀
。ただ鶴を折るだけという単純な行為が、悠人と一緒だと驚くほど楽しい。また、鶴を一羽一羽折ることで、少しずつ私の心も強くなっているのだろう。悠人と、「一緒に退院をして、思いっきり遊ぶ」という約束を交わすこともできた。病状は依然悪いままで、そんなことはいつの日になるのかさえわからないし、そもそも「一緒に退院」ということ自体おかしな約束だとは思うけれど、とにかく、「まだ生きたい」という希望が、少しずつ私の中で芽生えてきたのは大きなことだと思う。
そんな、ようやく千羽鶴が半分ほど仕上がったであろうかというある日――
私の病状は急変した。
その日もいつものように、悠人が折り紙に「パワーアッ
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