[求める手]/東雲 李葉
 
欲しいものはいつだってこの手の届くところにあった。
赤い積み木。母の微笑み。阻むものなど何も無かった。
だけれど今どんなに何かを求めても、
赤い残像。人のぬくもり。指の間をすり抜ける。
幼さ脱いだ掌は広げることばかり覚えてしまって、
躊躇うことなく掴むことを忘れてしまった。
手を伸ばしたならすぐに繋げる指先を、
振り払われるのが恐くって固く拳を握っている。

何度この手を払われたって守りたいものが確かにあった。
今はどれにも何の執着も持てていないけど。
子供部屋に散らばったすべての色を愛しんでた。
お気に入りの黄色い傘に代わりなんて無かったのに。

何度声を張り上げられ
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