きずあとスカイ/示唆ウゲツ
異物から目を離した瞬間、
時のうねりがその場の地軸と僕の視界を襲う。
例えて言うなればスロー・モーション。
窓の外を二匹、灰色の鳩が飛ぶ。
映画のフィルムに入り込んだ感じだ。
鳩の進行方向には二匹の後を追うように、
羽ばたいた数だけ残像が残る。
息の合ったダンスと古典的なロックだった。
垂直にアンプを吊り下げているそこは何の匂いもしない。
あえて、あえて言うなればだけど、
マウントポジションで彼女をしっちゃかめっちゃかにした時、
殴る手を一瞬止めて見せたんだ。
正真正銘の悪意がそこにあるように
たちどまった僕を振り返らせる器量とポリシーがそこには
輝いて見えたんだ。僕には、だけど。
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