詩片H ?/土田
のと化したかった
すべてがマッチ棒に見えた
コインは裏だった
新宿のあの店舗にしか売っていないものが何なのかすべて忘れたことにした
おれの周りをマッチ棒が通り過ぎていった
いかにも冷たそうなマッチ棒たちだった
アナウンスともにドアが開くと夜風が気持ちよかった
おれは疲れていた
まだ暑かった
やがておれは疲れすぎて自然発火した
みんなが燃えていった
それとともにいっせいにコイン落ちていった
財布の焼けるにおいだけが聞こえてきた
ほとんどがブランド物だった
ほとんどがエナメルで革は少なかった
すべてが裏だった
やがてあの朝の一発で宿っていた二十歳なったおれの娘が事実を告
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