執行猶予/ホロウ・シカエルボク
 
ていないのか
顎を裂いて
喉笛から洩れるそれを嬉々としてずっと啜ったくせに
なあおい、俺のこと思い出させてやろうか
あそこでやってたみたいに食らいついてやろうか
俺は狂ってなんかいないぜ
俺は狂ってなんかいない、ただ少し記憶し過ぎてしまうだけさ


夢を見ていたんだろうか
夜が来るたびに目が覚める気がする
俺は結局どこにも進んではいないのだろうか
過去に縛られて渇きつつあるのか
左手の薬指に出来たひび割れだけがいつまでたっても治らない
流れない薄い血がいつでもうっすらと滲んでいて
その控えめな痛みはますます俺をいらだたせる
魂の無い世界にまで怒りを覚えて
やり場が
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