風邪三段/ヨルノテガム
胸の痛みが
恋のだったら
幾分 朝が澄んでいるのに
コンコンがゴボッ、ゴボッ、と
噴火みたいに茶色いタンを吐き出すのですもの
熱が鼻水がお腹が順序よく反乱し鎮圧されていく
峠を過ぎれば、イヒヒと悪賢い予見を立てることができた
おお わたしの治癒力! なつかしい おまえ!
わたしは熱を出しながら寒気で震えていても
水で濡らしたタオルを額に置いて、次は水まくらかな、
首を冷やそうか、医者はまだ早いぞ、市販の風邪薬はどうだ、
と嘘吹くことができた 昼が長い夜になる
身体のあちこちは痛んでも 痛みを教えてくれる箇所に
敏感っ子ちゃんになれた、そこが和らいだら嬉しいのだ
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