月/リヤ
今日も空には半分だけの月が登って、脆く儚い世界を嘆いている。
雲に隠れては霞み、夜に浮かんでは灯る。
動かない月と、震えるアタシ。
距離はずっと遠くて、背伸びをしてもまだ届いてはくれない。
ああ、揺らぐ月を見ていると泣きそうになる。
もう現れてはくれないのではないかと、怖れている。
冷えた体を抱えて、君を思う。
今日もまた月がぼやけてきた。
悪いのは月なのかアタシなのか。
吐く息の白さは答えてはくれない。
これじゃあなんのために月を見上げているのかわからない。
泣くためなのか、泣かないためなのか。
今日も空には半分だけの月が登って、脆く儚い世界を嘆いている。
そして、今日もアタシは夜の月に目を奪われている。
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