優しい爪/
朔 水
ほどいた髪に
手櫛をとおして
慰める日々の疼き。
つややかな黒を
たわいない指先に
ひとりあそび絡ませ
誰のためでもない夜を
静かに白んでゆく。
首すじを伝いおりる
さみしいしずくの分だけ
しどけない襟元の夢。
爪先に灯す
かすかな朝の光に
優しく君を思いながら。
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