喫茶店にて/あやさめ
 
コーヒーカップに水を少々
砂糖のないテーブルの腕が
彼の足をつかんで引きずって放さないままでいるので
ぼくは少しだけ安堵します

コーヒーカップに水を少々
窓の外には目のない彼女
旅を続ける人は決して隣の音が聞こえないので
ぼくは両手を後ろに隠します

コーヒーカップに水を少々
テーブルの上には塩と醤油
目印はいつも彼が客であると言い張っているので
ぼくは向かいの椅子に座ります

コーヒーカップに水を少々
コーヒーカップに塩も少々
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