あなたは優しいから/ゼロスケ
 

地球にしかと立つためには
地面を脚で押さえなきゃならない
だが地面は無言で突き放す
さみしい宇宙に放り出されたくはない
必死でまた押さえ続ける
かくして重力は成立する


冬の朝
凍った水たまりを
ぼくは好んで押さえる
水たまりは突き放さず
受け入れてくれた でも
ぱきん、と心地よい音をたて
氷の床を踏み抜いてしまった
ぼくは落ちていった
つめたい水の中に

これがぼくたちの病であり
はかないあなたの優しさです

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