思月の楽園/
よつやとうじ
雨曝す心ひとつ
待つ身の程の隅々へ
ゆっくりと
行き渡るのが
夜の毒だから
ケチャップの夜は
泣き止まず
ただだらしない雨を
ひそかに運ぶ
可愛いひとを
手品の箱に
詰め込んでみても
黄色い知性で
蓋をすることは
叶わない
震える頭上には
じごくが弾み
夜は群れて
刺すものだから
ガス満たす空を
走り去る急行に
浮遊するのは手首だけ
可愛いひとは
引き攣る頬を
群れから剥がし
曇る窓を吸い寄せて
ゆっくりとまた
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