REBET/ホロウ・シカエルボク
 







バスルームの隅に腰を下ろして、お前は世界が滅びる夢を見てる、古びた壁のタイルの亀裂からはみ出た小さな甲虫が眼を潰された預言者のように出口を探している…開ききらない錆びた窓から唇だけが逃げ出そうとするみたいに叫んだのはいつのことだったか
世界は滅びたりしないのだ、少なくともお前の苦しみほど自傷的には
手の甲に痛みが走るほどきつく締めても涎を垂らしつづける浴槽の蛇口からうんざりするような情念のメロディ、渇いて冷たい景色の中で普遍的に反響している、古びて…すべてを確かに聞き取れてしまう、それはそんな独り言に似ていた
排水溝から鼠が囁くような気がするけど、姿が見えないのな
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