雨の国/ローザ
 
昼過ぎ

しっとり

水気のある

部屋に散らばった紙の感触

窓の外は

濃い緑さえもぼかす

真雨の国



タチアオイは

潤った その花弁を

桃色の羽根を広げた花弁を

そぼ濡らし

桃のしずくを滴らせ

哀 を語る




白く

霧雨に分け隔たれた山々は

別の国や

別の世界へと

誘おうとさえ見える


私は

その世界こそを

願ってやまない


私は

神隠しのような潔さを求め

その白に身を委ねることを

夢みるのだけれど


屋根を不規則に叩く

粒の音
[次のページ]
戻る   Point(3)