大晦日の或る晩、時の変性について/ゼロスケ
全世界の"私"と、今では遠くなったT.Aのために
机のうえにコップがあり
椅子のうえに私があって
時計は23時59分を指していた
この部屋で動いているのは時計の針だけ
コップの中の水さえ静止している
――私はいつからこうして居たのか。
23時58分に私は隣室(つまりキッチン)にて
洗い物をしていたかもしれず
また57分には隣室(寝室)にて
毛布にくるまり寝入っていたかもしれないのだ
私はいつまでこうして居るのか。
時計の針は動き続けている
逆に言えばここには
机と椅子とコップと水と私しか無かった
これでテレビが見られるのだ
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