鳥籠の中 ?/夢月
 
夜の"海"は既に
この町を
飲み込んでしまった‥
"波"に抗い
もがきながら
やっとの思いで掴んだのは
水面に浮かぶ満月だった
 ゆらゆら
  ゆらゆら
   漂いながら‥
ふと見上げた月が
"へのへのもへじ"の顔で
ウインクしてみせた
あぁ そうか
これは夢なんだ と
今更ながら気づいて
そっと手を離した
 墜ちてゆく
  墜ちてゆく
   深い"海"の底へ‥
微かに煌めく
水面の月が
遠ざかる
あぁ そうか
あれも夢だったんだ と
今更ながら悔やんで
そっと目を閉じた
 墜ちてゆく
  墜ちてゆく
   深い"闇"の底へ‥
     心は鳥籠の中‥
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