夜雪/たりぽん(大理 奔)
鳥取の冬を包み
かくすもの
街の音まで凍らせて
夜を沈黙で満たし
立ち尽くした
遠くで、雪おこしの稲妻が
夜を呼びさます
暗闇に置かれた水晶の透明が
今日のあなたのぬくもり
窓から投げ込まれた
発光ダイオードの
冷ややかな時間に
背を向けて逃げ込む
つや消しの夜
こんな日は無性に
手紙を書きたい
立ち尽くせば樹氷になる朝に
郵便受けに投げ込まれ
雪で湿った封を切れば
私のせいいっぱいの温もりを
あなたは白い息の向こうに
読むのでしょう
雲の切れ間のそらで
初夏の星座が夜明けに
熔けて
昨日と今日をむかえる
そんな夢を見る足下で
毛布のはしを
子犬が噛んでいて
窓の遠くで
雪おこしの稲妻が
影を呼びさます
戻る 編 削 Point(6)