ライオン/しゅう
ライオン ライオン
たてがみなびかせて
背筋を伸ばして街を歩く
右も左もわからない街で
値札のついた肉に手を伸ばす
檻から出て初めて見たものは
凍える冬枯れの街の景色
霜の降るたてがみ、白く染まり
荒い息に混じる、深いため息
思い出せる最後に聞いた言葉
いつかまた会えると信じている
何度かの冬を越え変わったことは
巻かれた首輪と錆付いた言葉
歩き出す
爪にアスファルト深く食い込む
血がにじむ
いつの間にか人の群れに流される
握手かわす
たびに邪魔になる、鋭すぎる爪は
春になれば、丸く曲がり、削り取られた
食べたい 眠りたい
キスしたい 夢見
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