湿度の高い日常群/ゼロスケ
くはなかった
憂鬱な熱帯は 行動しない限りいつまでも続くのだ
ふやけた身体から体液が漏れ 枕を汚す
沈みゆくベッド 転覆する認識
もう駄目なのか? 造花を握りこむ
いや顔も名前もない僕らが気にすることはない
無責任になるのが常套さ
それよりも大事なのはきっと
ウェットで明るい死への欲動そのもの
女の長い黒髪を思い起こさせるような
プラスチックで成型された人骨の手触りや
深い領域のすみずみまで蛍光する思想ロゴタイプを
とっておき科学兵器として、湿気に混じる物憂さに
あるいは自意識たちに垂れ流し反応させることだ
あふれそうな頭の中を
掴んで奪おうとする青白い腕を
それから頬の赤い没個性な猫どもの視線を
レッドデータブックへ著述することだ
湿気の水分を利用してやる 自分だけの造花を育てよ
求めて闘え シルクの花びらが鮮やかに濡れる日まで
戻る 編 削 Point(2)