多角形な体/かいぶつ
 
恋人たちが
裸になる夜は
計算が合わない
数が音に
なってゆくから

建築物の息づかいも
聞こえてきたよ
スポンジみたいな
緻密なリズム

さびしさの背中に
スプーンを落としてしまうと
無口な泳者たちは
潜ったっきり
戻ってこなかった



物知りな子どもは
夜更かしをする
星座とあやとりを
するために

清算するために
眠るひと
太陽が落とすオレンジ
今朝もひどく酸っぱい

僕の鼻梁に
降り積もった
冷たい光の斜面
あなたが滑走してゆく
真っ白なスピードで



牛乳の海
そんな白昼夢
嫌いな授業は
給食でした

ラムコーク色の夕暮れ
気の抜けた空想をして
大人と子どもの
良いとこ取りをする

何がそんなに
可笑しかったんだろう
それでも僕はまた
多角形に笑いたい

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