君の背中に追いつかない/秋桜優紀
 
「うん、色々」
「いや、色々って?」
「や、だから色々」
「色々じゃわかんないよ」
「ああ、もう。俺だって良くわからないんだよ!でも、何かもやもやしたから、っていうか。色々なんだよ!とにかくごめんなさい、ありがとう!」
 いきなり叫んで立ち上がった彼の真剣な表情を見て、何だか急におかしくなってしまった。堪えきれずに、思わず吹き出す。
「なっ、何だよ。笑うことないだろ」
「うんっ、ごめ……くくっ。ごめんねっ、ふふっ、あははは」
 男の子は納得のいかないような憮然とした表情で私を見下ろしていた。
 良くわからない、もやもやしたもの。そんなもののために、彼は真剣に謝ることができる。子供
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