[サボテン]/東雲 李葉
 
着信音よ早く鳴れ。
そうすりゃ僕は救われる。
両足の間には抗えない隙間があるんだ。
埋められるものばかりを、
探して 捜して、
19年も生きちまった。
蕾を咲かす術も知らないままに。

飛行機雲 2つの目玉で追いかけて、
宙返りしたくなるんだよ。
地面に根付いた両足捨てて、
空を飛んでみたいんだよ。
抑揚の無い文字で喋っているのは、
喉が渇いているからだ。
早く早く、水をくれ。でないと僕は干乾びちまう。

一人きりで朝を見ながら、
君からのメールを待っているんだ。
飛んでいっちゃう前に、
ぱさぱさになっちゃう前に、
「好きだ」って言ってくれよ。
イントネーションの問題じゃない。
「スキダ」て、言ってよ。ねぇ、ねぇ。

やけに喉が乾くんだ。
砂が口に流れ込むんだ。
僕が空を飛べたらいいのに。
早くしないと干乾びちまうよ。
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