女の子の夢/浅野 すみれ
ピンク色のドレスを着るの。
頭にお花をつけて。
「わたしの王子様は嘘つきだから。
もういいんだわ!」
髪を伸ばすことも
日傘をさすことも
全て夢のためだったけど。
ただの習慣にすることにしました。
そして。女の子は夢を語らなくなりました。
ピンク色にもお花にも
見向きしなくなりました。
ふわふわしていたことが
とげとげしくなり、
泣くことを止めました。
そして。女の子は映画の話しかしなくなりました。
サスペンスとか、ホラー。
そして。女の子はお星様を見なくなりました。
涙は星になったと信じていました。
ボロボロのドレスをきたまま遠くへ行きました。
そして。女の子は何も言わなくなりました。
ビーズで指輪を作って
ケーキを焼いて
お守りを作って
いい子でいようと決めました。
泣いていいのはお布団の中だけ。
女の子の理解者は枕だけです。
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