立待岬/たりぽん(大理 奔)
かもめよ、教えてください
埠頭をかすめて海に消えたひとりひら
海雪の行方を
海峡の雪雲に隠れたプロキオンだって
待てば姿をあらわすでしょう
その、抱く思いに揺れていたとしても
人波に消えてしまったのは
とくべつなひとひらでした
冷たくて真っ白な
凍った落葉樹を透明に透かして
函館山の稜線がそらを切り抜いています
まぶしいのはただ乱反射で
小さな岬に立ち続けるでしょう
待っているのではなく
私は、このまま凍ってしまいたい
波のしぶきがカモメになります
私はここにいます、樹氷がとける季節を
冷たくさむく、ため息のように呪いながら
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