洋燈ノ声 ー異人館にて ? ー /服部 剛
「 いえ、半壊しましたけど
異人館の洋館は皆
神戸の街より先に復旧しました 」
陽も暮れて
洋燈の灯り始めた
石畳の坂道を下る
この地で十四年前に
無数の人々が命を失いながらも
「 異人館を、取り戻そう! 」
と奈落の底から立ち上がった
人々の決意の声が聴こえて来る・・・
坂道の歩道に並ぶ洋燈の
硝子の中から
朧(おぼろ)に光る電球が
( どんな時も絶望しては、いけないよ・・・ )
今も静かに語りかける
被災者達のしろい魂に見えた
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