元旦に雪を掘る/オイタル
 
は美しく山なりの弧を描き
その鼻先に赤い花の幻は浮かぶ
正義でも私欲でもなく飛びゆく弾丸の渦
木々は根元から火を噴いて次々とその巨体を倒し
下草から無数の鳥が飛び立つ
危機と欺瞞のあわいをゆれ動くエコの岸辺

にいちゃん
雪だるまを作ろうか。
穴を掘ろうか。
にいちゃん
ぼくたちはどこまで掘ろうか。
つかれるまで。
つかれるまで?
土の中から新しい友達が
ひょっこりと顔を出すまで。
ひょっこりと?
うん
そいつはきっと西の遠い砂漠から
運河を抜けて山を掘りすすみ
一生分のトンネルを掘りぬけてここに来て
見たこともない雪を見て
びっくりするんだ。
そこでおとうとは
目を丸くして笑う。
そうだ びっくりする。
きっとびっくりするんだ。
ね にいちゃん。

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