あけおめ/木屋 亞万
 
数十年もの間、腐れ縁の切れない幼なじみがいる
だから数十年間、年賀状を出し合っていることになる
干からびたミミズのような字で
「さかたあけおくんへ」と書いた記憶がある
親同士の付き合いも古くからあったようなので
赤ん坊の時から写真付きの年賀状を
交換しているかも知れない
そんな幼なじみの馬鹿野郎からの年賀状は必ず
わが家に届く年賀状の束の一番上に挟まっていた

郵便屋さんの粋な計らいだったのかもしれないが
私に取っては要らぬお世話だった
母さんが年賀状の束を郵便受けから持ってきながら
「あら明雄君は今年も一番上ね」と言って笑うのだ
それが私はとても不愉快だった
「へぇ
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