午後の地下道/いねむり猫
ゆるくカーブする 地下道
湾曲する照明に 視線は導かれていく
低い天井の通路は ときどき分岐する薄闇から黒い人影を吐き出している
揺れながら近づいてくる人の視線は
私の背後
どこまでも見通せる地下道の終着点を探す
遠い目をしている
私の未来と過去が この通路に沿って並べられている
定まらない足取りで ふらふらと未来へ歩んでいく
午後の地下道は 明るく 狭く
夢見心地の私を ゆるく押し流していく
明るい排水管から 流されていく先には
やはり 薄明るい 地下道の幾つもの分岐が
待っているだけなんだろう
この閉塞した地下道で
産声を上げ 狭い世界に出会い 恋をして…
それでも わたしたちは DNAをつなぎ合わせて
何処か 地下道から外へと 排出されることを夢見ている
海へ あるいは宇宙へ
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