すり身の洗礼/シリ・カゲル
魚のすり身は、あじつみれと名付けられたときから、他の魚のすり身とは一線を画した。
味しみちくわぶと名付けられた魚のすり身は、もはやただのちくわぶとは違うのだった。
もともと静岡で食されていた魚のすり身は、黒はんぺんと名付けられて全国へ旅立った。
餅巾着と名付けられた餅巾着は、そもそも魚のすり身ではない。
あじつみれの両肩には、つみれ界の今後を占うに十分なほどの責任がのしかかっている。
味しみちくわぶは、お気楽なちくわぶよりも常に結果が求められる。
黒はんぺんは新たな全国区の登場に日々恐々としている。
餅巾着はそもそも魚のすり身ではない。
あれはお米と大豆だ。
地球が太陽の
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